経団連自然保護協議会は2026年9月17日、NGO活動成果報告会の第126回会合をオンラインで開きました。この報告会は、経団連自然保護基金が助成したNGOから活動の進み具合や成果を聞き、意見を交わす場です。寄付をした人への報告の機会であると同時に、企業とNGOが協力するきっかけづくりの場にもなっています。今回は2団体が登壇し、その内容が10月29日の「週刊 経団連タイムス」で紹介されました。
水・環境ネット東北は、仙台の広瀬川で、中流域にある幹線水路「愛宕堰」の整備や保全に取り組んでいます。広瀬川の流域では多くの団体が活動していますが、高齢化や人数の減少、メンバーの固定化が課題でした。そこで、複数の団体や大学の研究室が参加する流域の活動プラットフォームをつくり、仙台に拠点を置く企業とも連携して、観察会に加えてフライフィッシングや魚の塩焼きなどの体験イベントを開きました。1年目には2カ所が自然共生サイトに登録され、2026年度はさらに1カ所の登録を目指しています。アユやサクラマスがさかのぼる妨げになっている愛宕堰には、簡易魚道を設ける計画です。
日本鳥類保護連盟は、フィリピンで猛禽類のサシバを守る団体と協力し、密猟対策や子どもたちへの啓発、森を再生するための植樹を支えています。活動地の一つのヌエバビスカヤ州は、日本に渡ってくるサシバなどの中継地や越冬地ですが、密猟が問題になっています。そこで州立大学と共同で調査し、地域全体で保全の大切さを伝える活動を進めてきました。調査で渡りのルートや個体数が分かり、今後はこの情報を風力発電所の建設地の検討などに役立てることを目指しています。
注目ポイント
- 高齢化や人数の減少に悩む流域の保全団体を、大学や企業も加わるネットワークでつないだ
- 日本に渡ってくるサシバを、中継地・越冬地のフィリピンで地域ぐるみで守る
- 寄付による基金が、国内外のNGOの自然保護活動を支え、成果を共有する場をつくる
なぜこのニュースに注目したいのか
渡り鳥は国境を越えて移動するため、日本で見られるサシバを守るには、遠く離れたフィリピンでの保全も欠かせません。現地の大学や地域の人々と調査・啓発を重ねる取り組みは、自然保護の国際協力の具体例として参考になります。
身近な川の保全でも、担い手の高齢化は多くの地域に共通する課題です。団体どうしをつなぎ、体験型のイベントで新しい参加者を呼び込む工夫は、各地の市民活動にとってもヒントになると言えます。
スタッフコメント

青葉 港調査・リサーチ
「日本に飛んでくるサシバを、中継地や越冬地のフィリピンで守っているという点が気になりました。渡り鳥を守るには、日本の中だけを見ていては足りないのだと改めて気づかされます。」

広瀬 ソフィー執筆・翻訳
「青葉さんの言う日本の外まで見る視点、とても大事ですね。私は仙台の川の取り組みにも惹かれました。フライフィッシングや魚の塩焼きなど楽しい体験から、新しい担い手が育っていくのは素敵だと思います。」

定禅寺 真子校正・検証
「お二人のお話から、遠い森と身近な川が、生き物のつながりという一本の糸で結ばれているように感じました。地域の人や大学と一緒に調べ、伝える地道な積み重ねが、自然を守る力になるのですね。」

編集長コメント
伊達 蓮編集長
「仙台の川とフィリピンの森。一見遠く離れた2つの活動ですが、どちらも「生き物のつながり」を守ろうとする点で共通しています。日本に飛んでくる鳥が、海の向こうの人たちに守られていると思うと、なんだか温かい気持ちになりますね。ぜひ経団連タイムスの記事も読んでみてください。」