東京外国語大学は、2026年9月2日から8日まで、ハワイ州オアフ島でスタディツアーを行いました。東京農工大学と進めている文理協働の研究プロジェクト(J-PEAKS)の参画教員を中心に企画されたもので、学生14名と教職員4名が参加しました。テーマは、山から海までの土地・水・生態系を一体で捉えるハワイの伝統的な仕組み「ahupuaʻa(アフプアア)」です。
出発前には3回の事前学習を行い、学生一人ひとりが現地で確かめたい問いを立てました。現地では、ハワイ大学マノア校でタロイモ畑や小川を見学し、水質汚染と社会運動、食のサステナビリティと不平等についての講義を受けました。伝統食「ポイ」の加工工場、かつてのプランテーションの土を長い年月をかけて回復させてきた有機農場での除草作業、大学のタロイモ水田で地域の人々と一緒に行う農作業なども体験しています。
後半には伝統的な養魚池を訪れ、水の使われ方の変化や海面上昇、漁業の歴史を学びました。最後の振り返りでは、事前の問いが深まったり、新しい問いが生まれたりした学びを、学生が一人ずつ言葉にしました。報告では、ハワイを「観光地」としてだけでなく、植民地主義や多文化社会、先住民の権利、食と農業、環境正義が重なり合う場所として捉え直す機会になったとしています。
注目ポイント
- 伝統的な土地・水の仕組み「アフプアア」を軸に、山から海までをつなげて学ぶ構成
- 講義だけでなく、タロイモ水田での農作業や有機農場での除草など、手を動かす体験が豊富
- 事前に自分の問いを立て、現地で確かめ、最後に言葉にする学びの流れ
なぜこのニュースに注目したいのか
スタディツアーというと途上国への訪問を思い浮かべがちですが、この報告は、身近な観光地にも土地や水、食をめぐる課題や先住民の歴史があることを教えてくれます。環境問題を技術だけで解決しようとせず、歴史や社会の構造から考える視点は、国際協力を学ぶうえでも大切なものです。
事前学習で問いを立て、現地の人々と一緒に作業し、最後に振り返るという流れは、スタディツアーを企画する団体や参加を考えている人にとって参考になります。訪問先の土地と人々への敬意をていねいに言葉にしている点も印象的です。

編集長のコメント
ハワイと聞くと青い海やリゾートを思い浮かべますが、タロイモ畑や養魚池から土地と水の歴史をたどるという切り口に、はっとさせられました。泥にまみれて農作業をしながら学ぶ時間は、学生のみなさんにとって忘れられない経験になったことでしょう。
「どこへ行くか」だけでなく「何を問いに行くか」を大切にしたスタディツアーの好例だと思います。写真も多く紹介されているので、ぜひ元の報告を読んでみてください。