アジア学院は、英語名「Asian Rural Institute(ARI)」としても知られる、栃木県那須塩原市の学校法人です。1960年代に東京の農村伝道神学校に設けられた「東南アジア科」を前身とし、1973年に独立して現在の地で創立されました。戦時中に日本の教会が戦争に協力したことへの反省から生まれた学校で、「共に生きるために」をモットーにしています。
毎年およそ15か国から30人ほどの「学生」を招いています。学生は、貧困や課題を抱える農村のために働く団体に5年以上所属してきた地域のリーダーたちで、9か月の研修で新しい知識や技術、価値観を身につけ、地域の長期的な目標を胸に帰国します。帰国後も少なくとも3年間はその団体で働くことが条件とされ、学びが確実にコミュニティへ戻る仕組みになっています。
キャンパスは森や畑に囲まれた全寮制の学び舎で、授業も生活も英語で行われます。開発途上国の農村でも応用できる有機農業を実践しており、学院の食料自給率は95%を超えるといいます。学生の学費と渡航費は設立当初からほぼ全額を学院が負担しており、その運営は一般の人々や企業、教会などからの寄付に支えられています。
注目ポイント
- 途上国に人や物を送るのではなく、現地の指導者を日本に招いて育てる「内発的発展」の支援
- 学生・ボランティア・職員が共に暮らし、食料自給率95%超の有機農業を実践する国際コミュニティ
- 日本人学生の受け入れ(毎年最大5名)や、農業体験・オープンキャンパス・ボランティアなど一般にも開かれたプログラム
この団体の活動が注目される理由
課題を解決するのは、その土地に根を張って暮らす人自身である――アジア学院の研修は、この考え方を50年以上にわたって形にしてきました。送り出した団体と卒業生が帰国後に一緒に計画を立て、地域の発展に取り組む流れまでを想定している点は、一過性で終わらない国際協力のあり方として参考になります。
1996年には創設者がラモン・マグサイサイ賞を受賞し、2026年には第15回クボタ・毎日地球未来賞を受けるなど、長年の歩みは国内外で評価されています。2011年の震災で施設の大半が被害を受けながらも、多くの支援を得て復興を果たし、創立50周年を機に企業向け研修や地域連携など新しい取り組みも始めています。

編集長のコメント
多様な国籍や宗教の人たちが一緒に畑を耕し、食事をつくり、暮らしを分かち合う――アジア学院の紹介を読んでいると、「共に生きる」ということばの重みをあらためて感じます。週末の農作業体験やオープンキャンパス、ボランティアの募集など、日本にいる私たちが実際に足を運べる入り口がたくさん用意されているのも魅力です。
国際協力や農業、地域づくりに関心のある方は、ぜひ一度、那須のキャンパスを訪ねてみてはいかがでしょうか。まずは公式サイトで、学生たちの日々の様子をのぞいてみてください。