グローバルフェスタJAPAN 2026の会場で、認定NPO法人 日本地雷処理を支援する会(以下、JMAS)の理事(事務局長)を務める河津祐之介さんにお話を伺いました。JMASは、紛争地域に残された地雷や不発弾の処理支援に加え、戦争で沈んだ船からの油回収など、過去の戦争が残した「負の遺産」に最前線で向き合っているNGOです。
危険と隣り合わせの現場で感じるやりがい、海外で活動する人材確保の壁、そして日本の私たちが持つべき「広い視野」について語っていただきました。
過去の戦争が残した二つの脅威を取り除く
世界各地には、過去の紛争によって残された地雷や不発弾が未だに多数眠っており、日常を取り戻そうとする人々の命を脅かし続けています。JMAS(ジェイマス)は、こうした地雷や不発弾の処理を支援する日本のNGOです。しかし、彼らの活動は陸上の危険物を取り除くだけに留まりません。
河津さんに具体的な活動内容を尋ねると、次のような答えが返ってきました。
「地雷と不発弾処理、それから戦争で沈んだ船からの油回収、積載されていた爆弾とかですね、こういったものの回収処理をしています」
ブースの展示パネルでは、カンボジアやセネガルでの地雷・不発弾の処理に加え、ミクロネシア連邦チューク州での沈没船の油漏れ対策や、パラオでの戦争の遺物の処理といった活動が紹介されていました。
長年海中に沈んでいた船体の腐食が進むと、大規模な油流出事故に繋がり、美しいサンゴ礁や現地の漁業に壊滅的な被害をもたらす恐れがあります。JMASは、戦争の遺物が引き起こす「人命への直接的な脅威」と「環境破壊の脅威」の両方に立ち向かっているのです。
「人集め」が最大の壁。海外派遣を担う人材の不足
高度な技術と危険を伴う現場での活動を続ける上で、最も大きな課題は何なのでしょうか。河津さんは、資金面以上に深刻な実情を明かしました。
「(一番大変なのは)やっぱり人集めですね。海外に行ってもらう人を探すのは大変です」
国際協力の現場、特に地雷処理や不発弾処理といった分野では、専門的な知識や経験を持つ人材が不可欠です。それに加え、長期間日本を離れ、厳しい環境の国や地域で活動を続ける覚悟が求められます。熱意だけでなく、実務能力と現場での適応力を兼ね備えた人材を継続的に確保することは、日本の多くのNGOが直面している共通の課題でもありますが、JMASのような特殊な活動領域においてはその壁がさらに高くなることが伺えます。
困難な現場の先にある、日々の活動の充実感
人材不足という厳しい現実がある一方で、現地での活動には確かな手応えがあると言います。「最近、活動のなかで嬉しかったことはありますか」という質問に対し、河津さんは少し照れたような様子を見せつつも、穏やかにこう語りました。
「割と嬉しいこと多いんで。全般に充実していますね」
不発弾が一つ処理されるたびに、現地の住民が安全に農地を耕せるようになる。沈没船の油が回収されることで、豊かな海が未来へと守られる。一つひとつの着実な成果が人々の命と暮らしに直結しているからこそ、困難な環境にあっても「全般に充実している」と言い切れる確かなやりがいが存在しているのです。
短視眼的にならず、広い視野で世界を捉える
最後に、日本で暮らす私たちがこうした国際課題に対して何ができるのか、メッセージをいただきました。
「世界で起きていることは自分たちにも間接的に影響してくるわけで。そういう視点で、短視眼的に何か対応するんじゃなくて、長い視野っていうか広い視野っていうか、そういうものでやるべきことを考えていけばいいと思います」
私たちは日々のニュースに触れる際、遠い国の紛争や環境問題を「自分とは無関係な出来事」として切り離してしまいがちです。あるいは、一時的な感情で寄付などの行動を起こしても、関心が長続きしないことも少なくありません。
しかし河津さんが指摘するように、世界の出来事は経済、環境、安全保障など様々な形で回り回って私たちの生活に波及します。何か一つの正解を急いで見つける(短視眼的な対応)のではなく、「世界は繋がっている」という広い視野を持ち続け、自分なりの立場で何ができるのかを長期的に考え続けること。それこそが、国際協力の第一歩であり、社会を少しずつ良い方向へ動かしていく原動力になるはずです。
JMASの活動の詳細は、公式ウェブサイトでも紹介されています。ぜひ一度サイトを訪れ、彼らが現場で向き合っている現実と、その活動の意義に触れてみてください。
団体紹介:認定NPO法人 日本地雷処理を支援する会(JMAS)
JMASの活動の概要は、団体紹介の記事でご覧いただけます。
取材情報
取材:NGOネットワークジャパン編集部/取材イベント:グローバルフェスタJAPAN 2026(ブース番号58)/取材日:2026年10月17日・18日
