アイキャン(ICAN)は、1994年にフィリピンを訪れた一人の会社員が、子どもたちの置かれた状況を前に「何かできることがあるはず」と考え、友人と集めた5万円を元手に始まった国際協力NGOです。団体名は「I can(私にもできることがある)」に由来し、一人ひとりができることを持ち寄りながら、30年以上にわたって活動を続けています。
フィリピンでは、マニラ首都圏の路上で暮らす子どもたちに読み書きや計算、衛生、子どもの権利などを伝える「路上教育」を行っています。2015年には児童養護施設「子どもの家」を建て、5〜18歳の子どもたちの生活と学び、自立に向けた準備を支えています。路上出身の若者たちが立ち上げた若者組織「KALYE(カリエ)」は、パンやお菓子の製造・販売で収入を得ながら、売上の一部を路上教育に充てています。
日本国内では、岐阜県美濃加茂市と可児市を拠点に、外国にルーツを持つ人々の生活相談や交流の場づくり、若者が地域に参加できる仕組みづくりに取り組んでいるほか、子どもの居場所づくりや国際理解教育も行っています。
注目ポイント
- 路上教育から児童養護施設まで、マニラの路上の子どもたちを段階的に支援
- 支援を受けた若者が、今度は支える側として次の世代に学びを届ける循環
- フィリピンでの経験を生かし、日本の地域で外国ルーツの人々との共生にも取り組む
この団体の活動が注目される理由
公式サイトによると、フィリピンでは約37万人の子どもが路上で生活しているとされ、多くは出生登録がないために教育や医療を受けられずにいます。アイキャンは、物を配るだけでなく、子ども自身が「自分も変われる」と思える経験を大切にし、元路上生活者によるピア教育など、本人の力を引き出す「エンパワメント」を活動の軸にしています。
また、海外での支援で培った視点を、日本国内の多文化共生の課題にもつなげている点が特徴です。外国ルーツの人々を「支援される人」としてではなく、地域をともにつくる一員として捉える考え方は、これからの日本の地域づくりにも示唆を与えてくれます。

編集長のコメント
5万円から始まった団体が、30年かけて児童養護施設の運営や若者組織の誕生にまでつながっている――その歩みそのものが、団体名の「I can」を体現しているように感じます。
マンスリーサポーターのほか、書き損じハガキの寄付、ボランティア、スタディツアー、職員・インターン募集など、関わり方の入り口がたくさん用意されているのもうれしいところです。認定NPO法人なので、寄付は税制優遇の対象にもなります。東海地方で国際協力に関わりたい方は、ぜひ一度公式サイトをのぞいてみてください。