Good Job!セミナー「国際的な仕事」?世界が相手だっ!編 #4 『NGOの仕事』NGOプレス報告
カテゴリ : NGOプレス
投稿者: Taki 掲載日: 2007-2-12
Good Job!セミナー「国際的な仕事」?世界が相手だっ!編 #4 『NGOの仕事』NGOプレス報告

2月7日(水)、JICA地球ひろばにて、Good Job!セミナー「国際的な仕事」(JICA地球ひろば・NHK共催)が開催されました。

第4回目は、
(特活)TICAD市民社会フォーラム副代表の舩田クラーセンさやかさんに、「NGOの仕事」についてお話をしていただきました。

NGO特派員 高野 菜穂子さんからのレポート

前回に引き続き、やっぱりリクルートスーツの人が多いなあ。皆、メモをとる準備が万端の様子。

このセミナーも今日で4回目。本日のゲストは、時には特定非営利活動法人TICAD市民社会フォーラム副代表で、時には東京外国語大学の専任講師、そして時には6歳児の母、舩田 クラーセン さやか さん。今日は、女性として、NGOとして、母として、一人の人間として、話して頂きました。

?セミナー開始?

舩田さん、拍手の中登場。優しそうな人、ピンクのスカーフが似合ってる。

仕事と子育てを両立している舩田さんの平均睡眠時間は6時間程。論文を書いている時は4時間半程らしい。子どもと一緒に10時に寝て3・4時に起きる生活リズムを保っているらしい。
「リズムは自分でつくるんです。時間は限られてるから」



でもね、私も若い時は朝の9時まで寝てたんですよーふふふ?と微笑む顔が会場を和ませる。
「両立ってそんなに大変じゃないです、楽しんでやってます。子どもを持って本当に良かったです」

「子どもはね、毎年変るけど、今は大工になりたいっていってるんです」
お子さんの話をしている時の舩田さんはとても嬉しそう。

Q.「子どものころ何になりたかったですか?」
A.「考古学者になりたかったんです。あと4言語話したかったんです。シュリーマンが1週間に1言語制覇したんです。シュリーマンの本にもやり方が書いてあったんですけどね。今は4言語達成しました。関西語も入れてね(笑)大学ではポルトガル語を専攻してたんですけど、本当はスペイン語やりたかったんですよね。でもセンター試験が悪くて、イタリア語がポルトガル語になっちゃいました。世界一周をするのも夢で、ポルトガル語はアフリカ、欧米で話されてるから、世界一周できるかもって思って決めたんです。モザンボークの仕事はポルトガル語からつながったんです。22歳の時に仕事を探していて、当時国連のPKO活動がカンボジアで行われてたんですけど、日本の自衛隊が世界平和に役に立つのか見てみたいと思ったんです。秘書検定をニューヨークで受けたんですけど、タイプライターで落ちて、国連ボランティアでの仕事をしました。その時は英語とポルトガル語、マニュアル車の免許が資格という形でした。それからPKOのつながりでアフリカヘ、二度と戻らずって感じになりました。」


Q.「ためらいがないですよね?」
A.「色んな事を同時進行できるのは、迷いがないからかな。買い物も5分以上悩んだことがないです。皆、絶対違うって言うんですけど、昔は引っ込み思案でね、フフフ、それに好きな男の子も一人に絞れないくらい迷いがちでね、これじゃ人生損する!よし、決断してみよう!って思うようになったのがきっかけです。」



■舩田さんがNGOを始めたきっかけ

「NGOでボランティアした事ある人ー?」
「モザンビークってゆう国を知ってる人ー?」

会場からパラパラと手があがる。

「今から映像を流します、私がNGOを始めたきっかけをみてください」

会場が暗くなり、スクリーンに、大洪水の映像が映し出された。豪雨で川が海に、モザンビークの陸が埋まっている。そんな中、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた一人の女性が救われた。女性は木の上で赤ちゃんを出産したのだ。

「当時モザンビークの事を知ってる人はほとんどいませんでした。大使館すらなく、私しかモザンビークをしらないという状況。洪水の事を誰も報道してくれない。洪水の事を皆に知ってもらわなければと思ったのがきっかけかな。」



「私は阪神大震災の時、市役所でボランティアをしていたんですけど、本当に大切なものがおきざりにされてるんじゃないかな?って疑問に思ってました。」

女性のシングルマザーが多い事で、現地のモザンビーク人の友人と協力してNGOをたちあげた。

「そこで、NGOに関心がある人へ!日本にNGOは多いけど就職先としては少ないです。じゃぁね、だったら作っちゃえ!!これは私なりの考えなんですけどね?」

実際NGOをつくった人からこのようなメッセージを頂くと、嬉しいですね。パワーが沸いてきます!


「NGOは非政府組織、NPOは非営利組織。世界的に使われるのはNGO。NPOは日本でしか使われない。」

「1980年以降に生まれた人いるかなー?」

会場のほとんどの人が手をあげる。

「皆が生まれた時、NGOはほとんどありました。けれど私が生まれた時はそんな事なかったんです。ヨーロッパは第二次世界大戦後かなり餓えていました。けれど80年代以降に爆発的に増え始めたのです。」

「NGOにもたくさん種類があります。国内NGO、国際NGO、現地NGO…」



■なぜNPOではなくNGOか?

NPOのアイデンティティ:営利ではない、会社ではない

NGOのアイデンティティ:政府ではない

「これは全然違う事なんです。社会には、政府ではできない事、政府だからできない事があります。日本人学生の弱い視点は、国と国家と政府と政権の違いがわからないところ。日本を主語にして考えちゃうんですよね。」

「政府は利害調整できる機関。政府がなかったら、皆が好き勝ってやっている状態。
政府が必ずしも弱い人の立場になるとは限らない。そして、間違っている事を認識するのが難しい組織です。この事をを覚えておいて下さい。」

例えば、教師が自分の授業がいいかどうかは自分で決められない。評価してもらってから初めてわかる。つまり、一人で評価して一人でやっていってはいけないという事。

もうひとつ。神戸の人は、大震災の時、NGOと聞いて反政府だと思っていた。しかしNGOと政府がパートナーシップを組んでから、すごいパワーになった。


「ホワイトバンド買った人ー?」

数十人が手をあげる。

ほっとけない世界の貧しさキャンペーンのホワイトバンド。

「一般の人、若い人が世界の貧困について考えようなんて日くると思わなかった。ホワイトバンドも400万本も売れちゃったしね」

あるシンポジウムでほっとけない世界の貧しさの代表の方が「日本人はうてば響く人が多い」と言っていました。日本人の長所を生かすキャンペーンって効果的であって大切なんだと思いました。




■舩田さんからの質問

「じゃぁ、皆さんにちょっとお聞きしたい事があります。何人もの子どもが川に流されています。あなたのそばにはNGOの仲間がいます。濁流に子ども達が飲み込まれそう!あなたならどうしますか?お手元にメモ用紙があると思うので、あなたの思った事を書いて下さい。」

皆がメモ用紙をとり始め思った事を書き始める。それを舩田さんが見て回る。1分程たってメモ用紙を回収ー!なんだか先生みたい。

「どれどれ?皆の答えを読みますね」

止める
飛び込んで止める
泳げません
自分で手を出せない「えーなんで?」と舩田さん首をかしげる。
周りの人に呼びかけつつ助ける

「助けるって答えを出した以外の人いますかー?」

助けないという答えを出した人はおらず、よその子でも助けるという人がほとんどだった。

「それって何でだろう?よその人の子だし、助けなければいんじゃない?」


「この事についてよ??く考えてみて。人間ってそーゆう生き物なの。困っている人がいたら助けるんですよ。アジア人だの女性だからだの関係ない。」

「それがNGOがNGOたるゆえんです。ボランティアをやる意義ってゆうのは、人間だからなんです。なにかしなきゃ!に理由なんかいらない。」

「じゃぁ組織ってむやみに飛び込んでいっていいのかな?」

という質問を会場に投げかけ、また皆から集めたメモ用紙を読み始める。


できるだけ多くの人を呼ぶ
手をつないでせきとめる「いいね?」
うきわ「なかったらどーすんですかね?(笑)」


「なんで溺れ続けるのか探る事って必要じゃないですかー?どうして子どもがどんどん流れ続けてるの?それって川に子どもを投げてる人がいるからじゃないですか?その人を辞めさせる必要がありますよね。このように、なぜ子どもが溺れ続けるのかについて考え、調査し、提案し、変革を促す事をアドボカシー型活動といいます。なぜモザンビークの人達があのような環境でずっと暮らさなければならなかったかってゆうのも同じです。でも、私はモザンビーク人じゃない。モザンビーク人の社会だから、日本人としてできる事は?やってる事は役立ってる事なのか?って考えるのも必要。」

■アフリカ

「アフリカってすごい大変なとこ。ブラジルに1度も帰っていない理由はここにあるのかな。NHKの人とも話してたんですけど、アフリカって遠いんですよね。でもね、かわいそうなアフリカイメージがあるけど、行けば行くほどパワーがもらえるんですよね。アフリカの女性は朝から晩まで働いていて、笑顔を絶やさないんです。そんな女性になりたいと思いまして。アフリカに行くのかも。」

舩田さんの笑顔の源はそこからきているのかな。

■NGOで働く前に…

「まず、大卒でNGOには行けないと思います。まず大卒の人は、大使館などへのレターが書けません。電話にも出られません。事務作業のノウハウがありません。なので、このようなスキルを身につける為に企業などでスキルを身につける事、社会経験をする事が必要になってきます。」

<今できること>

・NGOとは何かしろう!インターンとして働いてみてください。
・「なんでも屋」としての道を極めてみよう!どんな仕事も嫌がらず。後方支援が的確にできてこそその前面展開。
・「途上国」経験を豊富に持とう!単なる旅行ではなく、人々との関わりを。


<NGOはこういう人を求めています>

・礼儀正しいこと
・はきはきと目を見て挨拶できるこ
・きちんとした日本語が書けること
・最低限英語は使えること
・PCスキルがあること(NGOに入ってからでは教えてる暇がありません)
・コミュニケーションスキルが高いこと
・リーダーシップが発揮できること
・機転が利くこと
・どんな仕事も嫌がらず、前向きに取り組めること
・自分なりの工夫をどの仕事にも凝らせること
・自己改善、組織改善のマインドをもっていること
・なんといっても、我慢強いこと!

「今は修士課程を海外でとっている人がほとんどです。国際的な人が増えてきています。修士はとった方がいいかもしれませんね。良いNGOがなかったら自分でNGOつくってみてください!仕事をしながらNGOを作るという事も考えてみて。NGOをつくる時大切なのはいかに周りをまきこめるか!これ重要です。頑張ってくださいね。」

■質疑応答

Q,「よく募集要項に、2,3年の社会経験があることーと書かれていますが、いつか辞めるつもりで企業に入るのがツライです…」
A,「人事担当としてお答えします。履歴書にかく社会経験の為に会社にいく事はないです。日本社会を知っておいた方がいいし、若いうちは苦労をかってでてやってみて下さい。もしそれが嫌であればインターンやフェローもあります。それから日本の社会で働いてからという事ならば、NGOは営業も大切だけれど、総務も大切になります。また英語も必要です。今、NGOで働いてる人は本当に学位が高い。マスター持ってないと仕事が降ってこないなんて事もあります。」


Q,「市役所ではどんな事を?」
A,「震災の時にボランティアで入りました。市役所の中にボランティアというのがあり、3000人くらいのボランティアのコーディネーターをしました。私みたいなのも役に立つんだなって思いました。」


Q,「NGOの今後のありかたは?」
A,「政府だけではできない事があります。MDG8かね。草の根目線が持てるのはやっぱりNGOだと思うんです。NGOとのパートナーシップをもっともつべき状況にありますね。そして、もっと普通の人がNGOに関わる社会を作るべきだと思います。運動などをやってね。また、NGO=ボランティア、この考え方がいけない。NGO=プロフェッショナル。日本のNGOはどんどんプロ化してゆくでしょう。」


Q,「友人とNGOをつくりたいが模索中。ご友人にどのように話をもちかけたのか?」
A,「気候変動や温暖化、災害に国境はありません。ひと言言うと皆集まってくれました。社会人で忙しいのに、WEBページやメーリングリストをつくりにきてくれたり、とんできてくれたりしましたよ。NGOを二人でつくるのは無理です。普段からの関わり合いがないと作れないです。なるべくいろんなところに出て行って、目指す事が大切。助成金とODAは重要です。」


Q,「モザンビークで現地の人に理解して貰う為にどんな事を?」
A,「独身の頃からアフリカの農村で働いていので、あまり参考にならないかも。人間って本当に言葉とか色とか国籍じゃない。伝えたいものがあれば伝わるんですよね。重要なのが、彼らがやろうとしている事は何かを知る事。何かやる事があればやる。何もしないのであれば何もしない。彼らがやりたい事を支援するんです。途上国経験を積んでください。」


Q,「利益がでるようなNGOをつくる為には?」
A,「NGOはノンプロフィットじゃなくていいんです。何か目的があればね。例えば、フェアトレードカンパニー。その収益で目標に向かっていく事ができる。お金の為だけにやるのは企業。私たちNGOは、JICAさんの協力を得て、一人あたり五千円?一万年程を頂き、アフリカについての講座を初級、中級、上級のコースにわけてやっています。もちろんお金の損はさせません。プロとしてちゃんと教えます。工夫次第でいろんな事業が展開できると思います。目標は何か?その為の手段は何か?を考えていって下さい。最後の最後に頑張れるのは人間ですから。」


Q,「外国語習得のコツは?」
A,「日本語以外に操れる言語は持っていますか?第一外国語を自由自在に操れる事が大切です。引き出しがあれば、次の引き出しが簡単にできると思います。重要なのは、リアクションなので、独り言を言ったり、辞書なしで簡単な小説を読んだり、日記を書いたりするといいですよ。」


■メッセージ

「迷った時は迷い続けない事。半歩でもいいから踏み出せば世界は変る。躊躇しないで。半歩踏み出したからこそ学べる事はたくさんあります。人とのネットワークもあります。人は、人からしか学べないと思います。子ども、学生から学ぶ事、たくさんあります。ODA批判じゃないけど、反対側にならないとわからない事もあります。関わって傷ついて嫌われていい。学んだ事を次に生かして下さい。恋愛でもNGOでもその場で得たものを次に生かしていって下さい。」

■取材を終えて

私も将来、友人と一緒にNGOを立ち上げたいと思っているので、今回の話はたくさんのパワーを頂きました。実際NGOを立ち上げて活躍している人の話は、勉強にもなるし、多くの方法を知る事ができました。
舩田さんは「人間」という言葉を多く使っていましたが、人間は??だからと断定できるのは、人生経験豊富な証拠であると思いました。

文責 :高野 菜穂子